英比(えいび)屋敷B

2016年5月15日撮影


◆別名:

 

◆所在:

阿久比町白沢天神裏(北原天満宮)

 

◆交通:

 

◆歴史:

菅原道真の孫である菅原雅規(幼名英比麿 ※久松麿とも言う)の居館。

北原天満宮の社伝によると、天歴9年(955年)正月25日に菅原雅規は延喜3年(903年)に大宰府で没した祖父の菅原道真を祭神として幼少時代に住んでいた住居の跡に神社を建立したと伝えられている。

 

雅規の孫には更級日記の作者の父である菅原孝標がおり、その子孫は堂上家を輩出し、さらに、戦国時代において英比地区を支配していた久松松平氏の先祖にもあたる。

 

なお、阿久比町椋岡に英比屋敷という地名が残されており、こちらも英比麿の屋敷跡と伝わっているが、現在は地名のみが残されており、遺構等は存在しない。

 

また、天満宮内に建てられた碑には『坂部城主で菅原道真公の孫にあたる雅規殿』と言う文言が有る事から、当時は北野天満宮から坂部城、椋岡の英比屋敷までの半田街道沿いを支配していたと思われる。

 

推測にはなるが、現在の北原天満宮は幼少時に居住していた地で、後に、椋岡の英比屋敷に居館を構えたと考えると地名の由来なども納得はいくが、確証は全く無く坂部城との歴史的関係も不明である。

 

※便宜上、阿久比町椋岡の英比屋敷をAとし、こちらをBとして区別した。

 

◆現在:

半田街道沿いに天満宮が建てられているが、周囲は宅地及び田畑になっており、遺構は残されていない。


北原天満宮の鎮座記

 

以下碑文を転記した。

 

柳々尾張国知多郡白沢村ニ鎮座祭神天満大自在天神宮ナリ天暦九年正月 廿五日阿久比郷坂部之城主菅原道真公孫雅規殿(英比麿ト称ス)北原野御 鬱散御遊観被遊候際直々西之沢ニ片葉ナル葦ノ生シヲ御愛賞被在候然ルニ 沢ヘ白鷺数百羽翔リ来居シヲ御覧アリ実ニ珍美ノ風地ナリト思召シニ沢ヲ 白沢ト号シ 国家鎮護ノ為ニ境内八拾間四方ニ御定メ神殿ヲ御建立シ給ヒ テ祖父命ヲ奉祭シ北原天神ト称スル